クマゼミの羽の構造をまねて、
強力な抗菌効果がある材料を作り出すことに
伊藤健・関西大教授(ナノ・マイクロ科学)のチームが
世界で初めて成功した。
薬剤などを使わず、物理的に細菌を死滅させられる
安全で持続的な製品開発につながると期待される。
引用:毎日新聞
セミの「透明な羽」には抗菌効果がある
クマゼミの羽の表面には高さ約200ナノメートル(ナノは10億分の1)の
極小の突起が1マイクロメートル(マイクロは100万分の1)当たり30~40個ほど、
ほぼ規則正しく並んでいる。この構造は光の反射を抑え、水をはじくことが分かっている。
細菌が付着すると、生け花の剣山のように細胞膜を壊すと考えられる。
伊藤教授らはこの構造を人工的に再現。
シリコーンの板を無数の樹脂製ビーズ(直径約200ナノメートル)でコーティングし、
上から金を薄く載せた。これを特殊な液体に浸すと、
シリコーンと金が接した部分だけが深く削られ、
クマゼミの羽とほぼ同じ200ナノメートル大の
円柱形の突起構造ができあがった。
表面に大腸菌が含まれた液体を加えたところ、
菌は10分から20分ほどで
細胞膜が壊れて死んでしまったということ。
24時間後の生存率は日本工業規格(JIS)で
抗菌性が認められる1%を大きく下回ったという。
通常のシリコーンの板の表面での生存率は数十%だった。
人体に安全な抗菌手段として期待
世界では抗生物質の効かない薬剤耐性菌の出現が問題化。
銀や亜鉛などの金属粒子を使った抗菌剤は、
人体に悪影響を及ぼす恐れも指摘される。
表面の構造だけで抗菌できれば、
安全で常に清潔なトイレや台所用品、
医療機器などに応用できる可能性がある。
研究を行った伊藤教授は
「身近な生き物であるセミにこんな力があるのかと驚いた。
薬剤を使わずに抗菌作用を持たせられるメリットは大きい。
実用化に向けた研究を進めていきたい」と話している。
ま と め
・セミの羽(透明な羽)の構造には、細胞膜を破壊し死滅させるという
抗菌作用がある。
・薬剤を使わずに抗菌作用を持たせられるという大きなメリットに今後期待される。
近年多発する災害対策に朗報!再び脚光を浴びている方法とは?でふれたように、
日本の技術、技術者は世界に誇れるものだと思います。
これからも、同じ日本人として負けないように有益な情報を
発信していきたいと思います。